〈船木倶子の詩〉

 さようなら

  

別離のときに泪がつたうのは
それまでの昼と夜が
野を駈けたたてがみの蒼い重さが
いっせいにあたりをひびいてしまうから

吹雪のつづく日 うすあかりの敷藁のうえ
おまえとむかっていたけれど
わたしはうたをうたったけれど
おまえの母の おまえのだいじな最初の記憶を
あのときわたしはたずねそびれた

もうおまえは行く
おおきな湖
(うみ)からさようならがあふれる
ごめんなさいね わたしにんげんで

 

    

                 詩集「男鹿半島」

  


Index Poem〈 Top15678 911・13・14151617

Copyright Tomoko Funaki. All right Reserved.